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2020.01.02更新

「シニアの自分探し」

 謹賀新年。元旦の朝空晴れて 何かいいことあるごとし――。 このコラム、数えてみると今年もう16年目だが、新年毎年同じことを書いている。年齢は着々と重なっても進化がないこと。まったくもって恥ずかしい。ただしかし、今年も現実に元旦朝9時、空は爽やかうららかに晴れ渡り、なにか深呼吸したくなった。こんなとき、いつも浮かぶ言葉は「小さな幸せ」。小さな幸せは、自己満足、展望がない…という意見がある。記者も若いころはそんな周囲のオトナを軽侮していた。ただそれなら大きな幸せっていったい何だ…最近は、そう思う。

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 一時期、もういいや…と思っていた”馬券”を、また頻繁に買うようになった。昨年中央GIは皆勤、南関東も競馬場に出かけていればほぼ全レース。博才のない記者だからむろん成績はあがらないが、それでも手当たりしだいにせっせと買う。負け戦さが済んで、日が暮れて、家路につく電車の中など、思わず自分で自分に苦笑することが少なくなかった。

 もういいや…の変節は、50代中盤に突然きた。あれほど好きだった、浸りこんでいた馬券(ギャンブル)に、なぜか気持ちが向かっていかない。競馬場にいながらぼんやりして、ノラ猫と遊んでいたりする。バカな話だが、そのとき自分を不安に感じた。思わぬ大病か、あるいは鬱か。ただ熱はなく脈拍正常、食欲も普通で、お酒など毎日けっこうな量を飲んでいる。

 もっともその理由、気づいていた部分もないではない。射幸心なるものが減退したこと。ヒトはなぜ馬券を買うか。馬券(ギャンブル)とは元来、自分の能力と天運を試すものであること。だから、心身ともさまざま限界を覚えた中高年には、真から夢中になりづらいものであること。回りくどくてすみません。要するに、才覚もなければ度胸もない、そんな自分は億万長者にはなりえない、それがわかってしまったということ。さらにいえば億万長者って、本当に幸せなのか…。

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 で、馬券生活復活。あるとき同年代、これまでギャンブルは宝くじだけ…という旧友と東京競馬場に同行した。たまには未知の世界でパーッと…などと言うからおつきあいした。昼すぎ府中到着、マークシート記入方だけ説明し、以後自由行動だったから詳しい首尾はわからない。最終レース終了、トキノミノル像前で待ち合わせ。満面の笑顔、若者のような弾む足どりで現われた。さては億万長者…と思ったが、帰りの居酒屋で話を聞くとまったく違った。「大損害。でも当たったレースもあったし、いろいろな自分がみえて楽しかった」。彼は教職40年、以後学習塾に3年勤め、少し前退職している。

 以前も書いたこと。競馬場とは一人で出かけ、自分と遊ぶことが最上であると思う。競馬場で過ごす丸一日、実生活とはある意味異次元の世界で勝ったり負けたり。そのうち何やら思い当たる。意外な“自分”の出現について。勝っていれば大胆、負けが込めば小心、場面によっては野放図、横着、そうかと思うと用意周到…。実生活ではイメージしない自分がみえる。刻々と変わる競馬場の風景。人混みの中でゆらゆら揺れる自分というもの。それをまた面白がりたいような気分になった。

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 12月29日、大井競馬場「東京大賞典」。カレンダーも味方したか想像以上の盛況(4万7千人・前年比120%)で、パドックなど確認できず、しかし狙いは決まっているから迷いはない。◎モジアナフレイバー心中の馬連、馬単。記者、競馬に関しては予想も馬券も「素直」「直情」「ストレート」と自己分析していて、だいたいそれは実践している。逆にいうと、いわくプロ風の冷静な狙い、ひねった狙いがなかなかできない。あと「ひいきが強い」ということ。南関生え抜き(小林・福永敏厩舎)モジアナフレイバーには、デビュー時から惚れていた。一つだけ書く。加速がついて重心が沈む…まさしく“絵になる”フォームで走る。

 スムーズ無事に馬券購入。その後若いカップル、家族連れでにぎわう場内をふらふら歩き、それでも締め切りまではかなり時間が余ってしまった。もう一度紙面検討、思いつきで買い足した。モジアナフレイバー=オメガパフューム、ワイドというやつ。結果はご存じの通りだから詳細はあえて書かない。ただこのワイド600円は、ごく客観的にいい馬券、おいしい馬券だったとふり返る。予想はハズれ、感動も歓喜もないのに、ひとまず小さな幸運に恵まれた。そこで発見したのは「卑怯な自分」「狡猾な自分」。幸運ではあっても、ちょっと悔しい。

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 新年早々、しかも久しぶり更新なのに、独りよがりの話で申しわけない。ただ、高齢者の競馬生活、馬券生活を長く支えるもの…そのキーワードは、「老獪」「日和見」「小賢しさ」…そんなところにあるとも思った。とってつけたようだが、モジアナフレイバー次走予定。「川崎記念」、あるいは「フェブラリーS」挑戦か。かつての英雄、アジュディミツオー、フリオーソのような威圧的王者ではないものの、少しずつ、しかし着々と頂点に迫っていく歩みにロマンを感じる。まあしかし、ここまで書いて、「反省のない自分」「「負け惜しみの強い自分」…は、つくづく改めて感じている。







吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




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