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 野球、格闘技、競馬。この3つのどれか(ひとつだけの方が少ない?)のファンなら、相当数の人がご存知だと思う。

 1月29日、山下書店東京ドーム店が約半世紀にわたる歴史にピリオド

 JR水道橋駅の西口に出て、後楽橋を渡ってそのまま進むと左手にある“あの本屋”。東京ドーム、後楽園ホール、ウインズ後楽園に向かえば、何やら不思議な書店がイヤでも目に入ったはずだ。店頭を見ると近くの催し物が一発で分かるディスプレイ、いかにもマニアっぽい客の面々。恐る恐る(?)店内に入ってみると、野球と格闘技と競馬の本ばかり置いてある。確かに客層に合わせた品揃えだが、ここまで極端な店は、そうそうあるものではない。熱烈ファンが喜ぶ“先行発売”もやっていたし、希少本を含めて、置いてある本自体が他店と明らかに違う。もちろん、木山さんの本だって平積みだ。



 閉店を知って、いつか行こうと思っていたら、気がつくと千秋楽になっていた。

 29日は日曜日。夕刻、プロレスラーの高木三四郎さん(DDT)を呼んで、店内で最後の企画を打って客足が引けた後、筆者が訪れたのは午後7時。すでに閑散としていたが、最終日も普段通り、夜10時まで営業するという。



話をしてみた。店長の岡野さん(左)。



─――いやあ、残念です。閉店の経緯はいろいろ報道されているようですが、私も実際に来たのは久しぶりで……。競馬ファンの方、やっぱり週末が多いですよね?

「今日は大盛況でした(笑)。やはり土日が中心でしたね。平日にもお見えになりましたが、オフト後楽園と連動していた印象はありません」

─――ここ、どうなっちゃうんですか?

「3月から、違う経営で別の書店が入ると聞いています」

─――品揃えは、こんな感じでしょうか?

「立地が立地ですからね。そうならざるを得ないと思います

 そうか、ひと安心……ということはないと思う。山下書店の事情があるにせよ、この“ブランド店”がなくなるなんて。書店の活字野球(プロレス、競馬)の危機。実際、売り上げが昔のままなら、閉店という選択肢はなかったはずだ。今はアマゾン通販の時代。後継店も、よほど工夫しないと苦しいのではないか。

 山下書店東京ドーム店に競馬新聞の配置はなく(すぐ近くにウインズ内スタンド売店がある)、弊社にとって直接どうこうということはない。とはいえ、学生時代から水道橋の駅を降りれば必ず立ち寄った店。業者になってからも「ああいう店があるんだから、ワシらも捨てたもんぢゃない」と、密かな心の支えだった。



 最後に売り上げに貢献しよう。買ったのはこれ。日刊競馬編集部は山下書店以上の競馬資料館なので、さすがに競馬本は……。

 かつて後楽園球場に負けない盛況を誇った、今は無き後楽園競輪場。この本の著者は近くにある二松学舎大学の出身。年齢から見て、間違いなく後楽園競輪に通い詰め、おそらく山下書店に入ったこともあるだろう。筆者の知らない(開催休止は1972年=昭和47年)、往事をしのぶ一冊としては決して的外れではない。それにしても誤植が多いな、この本(笑)。

 ゲームセンターも蕎麦屋もなくなって、ウインズ後楽園前のあの通り、すっかり様変わりしたものだ。 

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