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第6回「10月ぶらり記」


 9月28日。“あさっての馬”吉川彰彦先輩ほか、たくさんの方がネットで書いた栗原正光さんの通夜。筆者も末席に加わり、最後のお別れをしてきた。

 栗原さんが日刊競馬在社当時、片や大井競馬の小林分場トラックマン、片や中央競馬担当の編集部所属。仕事で絡むシーンはそれほど多くなかったが、いろいろ声をかけていただき、筆者の拙い文章も読んでくださって、部署が違うわりに話す機会が多かった。

 ブログ“メルボルン二世”にアクセスして、栗原さんの思い入れを感じてほしい。地方競馬に精通、阪神ファン(当然、反讀賣)、音楽好き、マニア、そして愛国者……。筆者と波長が合ったのは、こんなコラムを堂々と書く人だったからだ。

「メルボルン二世の思い出の中の地方競馬」
http://plaza.rakuten.co.jp/meruborun/diary/201006230000/


 棺を覆いて人事定まる。すごい先輩だったんだな。現場主義を貫いた栗原さんを見習って、もっと積極的に活動しよう。



 10月4日(月)の夜は、大井競馬場のダイアモンドターンで行われたJRAと専門紙記者の懇親会に参加。バックヤードツアーでは、普段は立ち入り禁止の後検量室の中に入れてもらったり、L-WING上層階の決勝審判室などを見学した。



「JRAでは採決委員が出向いて説明しますが、ここ大井では騎手や調教師を審判室に呼ぶんですよ」。

 ふ〜む。後検量室からエレベーターに乗って審判室に行く時の気分、あんまり良くないよな、やっぱり……。



 バックヤードツアー終了後、ダイアモンドターンで馬券と酒で大いに盛り上がり、筆者は久保木TMと二次会へ。あんまり飲みすぎないようにしような、お互い。



 10月8日(金)、大井競馬10Rにラストキング(当コラムの第3回、ダービーin大井に登場)が出走した。届かず3着。ドラマティックナイト賞 http://nar.chihoukeiba.jp/Ooi

 エンジンがかかってからの伸びは出色だったが、どうもまじめに走らない面がある。ゴール前でレースを見届けた後、管理の佐野謙二調教師に連絡してみると、「アツいよ。飲みに行こう」。某所で一献傾けた。

 いろいろ話しているうちに、話題が栗原さんのことになった。

「惜しい人を亡くしました。最後にお会いしたのは、いつだったかな、重賞の水曜日。彼が高橋三郎調教師と一緒にいるところでした」

「私ね、ファンだったんですよ、ブログの。ほら」

“メルボルン二世”がブックマークされた佐野師の携帯画面を見せてもらった。

──そりゃあ無理とは思いますが、何とか栗原さんに追いつけるように頑張ります。

「何、言っているんですか!」

 ホロ酔いの佐野師が一瞬、真顔になった。

「それではダメです。乗り越えようと努力して、初めて近づけるんです。私だって……」

 この人と話すと、前向きになれるのがうれしい。1964年(昭和39年)生まれの46歳、ふたご座同士。あきらめの悪い中年男2人が、盃を重ねて夜は更けて行った。
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