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年明け恒例のJRA重賞はキンパイ。1996年(平成8年)以降、中山金杯、京都金杯の名で行われているレースは、かつて東西とも単に“金杯”だった。正確には関東が日刊スポーツ賞金杯、関西がスポーツニッポン賞金杯。それでも、大混乱ということはなかった。インターネット世代の若いファンはピンと来ないだろうが、競馬場やウインズの窓口で東西相互発売をしていない時代の話。関東のファンにとっては中山で行うのが金杯で、京都の金杯は同じ日(だいたい1月5日)に行う“買うことができない西の重賞”という認識。結果を知って、「ああ、そうなのか」。




西の“金杯”最後の年、1995年(平成7年)。1着ワコーチカコ、2着アグネスパレード。(PDF

※同日の中山の金杯(PDF)

 もちろん、紛らわしい。同名の影響があったのか、他の関西重賞、関西メインよりも窓口での東西相互発売開始が遅かった(レース名変更と同時)。買えるか買えないかにかかわらず、現在の名称にしておくべきだったと思うが、金杯以上に悪評プンプン、それこそ何とかしてほしい重賞レース名があった。

 4歳牝馬特別。情緒がない、重賞らしくない名称自体が不評だったのに加えて、桜花賞と優駿牝馬(オークス)のトライアルレースだから、さあ困った。金杯と異なり施行日は違うのだが、重賞の中でもクラシック路線となればローテーションが話題になるのは必定。それが報知杯(桜花賞トライアル)、サンケイスポーツ賞(オークストライアル)の違いこそあれ、肝心のレース名が同じとは……。「4歳ヒントクは」「桜花賞の?」「違う、オークスの方」という奇妙な会話が交わされた。実際はホウチ、サンスポと呼び名で区別していたものの、活字すると、どうにも工夫しにくい。校正が主務のひとつである編集者の筆者にとって、最悪だった記憶がある。

 桜花賞トライアルは1982年(昭和57年)まで阪神4歳牝馬特別。その当時はまだ別物感があったが、それぞれ報知杯フィリーズレビュー、サンケイスボーツ賞フローラステークスと改称される2001年(平成13年)まで、つまり4歳が3歳と表記が変わるまで、批判されつつ18年間も両トライアルが同じレース名だったことになる。

 そんなサンケイスポーツ賞4歳牝馬特別、現在のフローラステークスの歴史は半世紀に及ぶ。昭和時代の中身はなかなか濃い。特に、クラシック戦線を席巻したメジロラモーヌ(美浦・奥平真治厩舎、騎乗はここからコンビを組む河内洋)、マックスビューティ(栗東・伊藤雄二厩舎、騎乗は代打の柴田政人)が登場して勝った1986〜1987年(昭和61〜62年)は、桜花賞馬の快勝劇。両馬とも勢いそのままオークスを制して、二冠に輝いている。


1986年サンケイスポーツ賞4歳牝馬特別 優勝メジロラモーヌ


1987年サンケイスポーツ賞4歳牝馬特別 優勝マックスビューティ

 1974年(昭和49年)には、ちょっとした裏話があった。詳しくは日刊競馬で振り返るGT(テスコガビー編)を読んでいただきたい。あの頃のオークストライアルがどういう位置づけだったか、よく分かる。サンスポヒントクは5着権利。オークスのフルゲート頭数も違った。

 平成になって、さらに今世紀に入り、様相は変わった。日刊競馬で振り返るGII(札幌記念)で取り上げたエアグルーヴと“21世紀4女傑”(ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ)、そして現役のハープスター。これらは1頭もオークストライアルに出走していない。つまり、超一流の牝馬が使うレースではなくなった。

 近年で本番と直結したのは2010年(平成22年)で勝ったサンテミリオン。アパパネと1着同着でオークス優勝という、ある意味歴史的な記録を残した馬だが、競走キャリアはそこがピーク。以後は馬券に絡むことすらなく、前記名牝軍団と比べられないのは当然として、“GTを勝てて良かった”という戦績に終わっている。

 強い弱いなら、一昨年の勝ち馬デニムアンドルビー(オークスは3着)。同年、ジャパンカップで2着と気を吐いたが、ゴールドシップが自滅して、ジェンティルドンナが平凡なタイムで優勝した年。外国馬も国内GT級も手薄だった。昨年が最高5着だったのを見ても、普通の一流の域は出ていない印象だ。

 やや低レベル。同じトライアルなら、チューリップ賞(3着まで桜花賞優先出走権。1着3400万円のGV、阪神芝1600m)とグレードを入れ替えてもいいのでは、と思ったりもするが、優勝賞金5000万円のGUである。桜花賞主力組が不在でも、彗星のように現れた上がり馬がここをステップにGTに駆け上がる。あるいは、本番よりトライアル狙いで一瞬の輝きを見せる。今後も、いろいろなタイプの馬が活躍しそうだ。となれば、年によって配当のバラつきが大きいのは納得。重馬場の4年前は、バウンシーチューン(9番人気)→マイネソルシエール(15番人気)→ピュアブリーゼ(3番人気)。3連単が113万円台の超大穴になったが、2〜3年前は1、2番人気のワンツー決着だった。

●2011年のフローラSのFAX新聞

 賞金の足りない馬にとっては、フルゲート18頭のオークス優先出走権を目指して3つのイスを巡る戦い。第50回の節目を迎えた今年はどんな性格のレースになるのか、じっくり見極めたい。舞台は東京芝2000m。4月26日(日)、発走は15:45である。




〔田所直喜〕
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