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ひと昔前だと
1997年(平成9年)ローゼンカバリー200円
1999年(平成11年)セイウンスカイ130円
2001年(平成13年)メイショウドトウ110円

 記憶に新しいところでは
2011年(平成23年)トゥザグローリー200円
2013年(平成25年)フェノーメノ200円
2014年(平成26年)ウインバリアシオン200円

 日経賞で順当勝ちした本命馬と単勝配当を列挙してみたが、この重賞にはもうひとつの“顔”がある。
1998年(平成10年)テンジンショウグン
2000年(平成12年)レオリュウホウ
2012年(平成24年)ネコパンチ

 まるで隙間を狙ったかのように、あっと驚く人気薄が優勝している。ただの伏兵ではない。12頭立ての12番人気、10頭立ての9番人気、14頭立ての12番人気で、3頭とも単勝万馬券。超大穴の立役者になっている。

 GTを含めて、重賞が波乱の決着になること自体は珍しくない。とはいえ、単勝万馬券となれば話は別。昨年はJRA平地全重賞を見渡してもフェブラリーSのコパノリッキー(27210円)、小倉2歳Sのオーミアリス(12020円)だけ。創設以来1回も出ていない重賞が大半なのに、最近17年間で3回は際立つ記録である。

 最低人気で勝ったテンジンショウグンは単勝35570円。JRA設立以降、重賞でこれを上回る単勝配当は、史上でも第8位にあたるサンドピアリスの43060円(1989年のエリザベス女王杯)しかない。

 前年の5月にダートの武蔵野Sを走って以来の平地戦で、近6走がすべて障害。厩舎コメントも当然のように弱気となれば、デキの良さを生かして善戦はあるとしても、まさか勝つとは思えなかった。

 テンジンショウグンは出遅れて後方追走。馬群が固まって内に詰まる有力馬が多くなる展開になり、前年優勝の本命馬ローゼンカバリーが折り合いを欠く中、直線で突き抜けた。2着も7番人気のシグナスヒーローで、馬連は何と21万円台。当時、3連単、3連複、馬単は存在しない。10万馬券なら大騒ぎの時代。めったにお目にかかれない高配当となった。




 レオリュウホウは現調教師の菊沢隆徳の手綱。本来は横山義行が乗るはずだったが、前日に落馬負傷。菊沢の代打騎乗となり、内ラチ沿いを終始マイペース、見事に押し切った。単勝19390円

 良馬場のスローペースなのに、上がりが36秒3というGIIらしからぬ凡戦。ただし、負かした相手はステイゴールド、メイショウドトウ、グラスワンダーら錚々たる顔ぶれ。かかりぎみのメイショウドトウ、太めのグラスワンダーを意識しすぎたステイゴールドがまたまた詰めの甘さを露呈して、波乱を演出してしまった。荒れる時は、自らの好走に加えて相手のエラーも重なるという典型例だった。




 ネコパンチも逃げ切って単勝16710円。重馬場で前半1000mが61秒4は遅くなく、追いかける馬がいない大逃げになった。とはいえ、道中で13秒1−12秒9−12秒9とうまくひと息入れて、4コーナーでは後続に約5馬身差。ウインバリアシオン以下を振り切り、ゴール前、江田照男騎手は持ったままだった。テンジンショウグンとは違った形で、自身3度目の単勝万馬券の重賞勝ち(残るひとつはダイタクヤマトの2000年スプリンターズS)。もともと穴男として知られているが、面目躍如である。





 改めて調べてみて気がついたのは、単万を許した実力馬が違う年に日経賞を勝っていること。それがやっぱり人気を集めているのは、冒頭に記した通り。負けた年は魔が差したのか、運命だったのか。

 舞台となる中山芝2500mはトリッキーな構造と言われている。事実、有馬記念は2着が穴馬になることが多い。今世紀に限っても、アメリカンボス(2001年、13番人気)、タップダンスシチー(2002年、13番人気)、アドマイヤモナーク(2008年、14番人気)、オーシャンブルー(2012年、10番人気)、そして昨年のトゥザワールド(9番人気)。有馬記念と日経賞は状況もレースの全体レベルも異なるが、コースに潜むアヤは共通しているのだろう。荒れ方を見ていると、偶然ではなさそうだ。

 力の差が出やすい別定GII。基本は堅めの重賞としていいが、1975年(昭和50年)のホワイトフォンテン(10800円)から数えて日経賞5度目の単勝万馬券が飛び出すかどうか、密かに注目してみるのも一興だろう。今年は3月28日の土曜日、発走は15時45分である。




〔田所直喜〕
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