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今年、68回目を迎えるセントライト記念が菊花賞トライアルになったのは大昔の話ではない。第49回、1995年(平成7年)から。しかし、その後、セントライト記念馬は菊花賞で最高3着。さかのぼって1984年(昭和59年)、三冠馬のシンボリルドルフが勝って以降、連に絡んだのは1990年(平成2年)のホワイトストーンだけである(メジロマックイーンの2着)。

 目下、セントライト記念は関東馬が7連勝している。菊花賞(京都芝3000m・外回り)を狙う強豪関西馬は、小回りの中山芝2200mではなく本番と同じ関西圏の神戸新聞杯(阪神芝2400m・外回り)を使うのが自然。美浦所属の優勝馬の中には、2012年(平成24年)のフェノーメノのように次走が天皇賞(秋)だった馬もいる。

 そんなセントライト記念は超一流馬の登竜門とは呼べないが、記憶に残る馬が何頭か登場している。GII〔6.3.0.3〕で着外3回はいずれも4着、新馬戦以外の28戦がすべて重賞のバランスオブゲーム(美浦・宗像義忠厩舎)もその一頭。父はフサイチコンコルド。キャリア3戦目でダービー制覇の離れ業を演じた馬だが、代表産駒も特異な戦績で歴史に名を刻んだ。

 2001年(平成13年)8月デビュー、2006年(平成18年)9月で引退。最初と最後(オールカマー)を勝利で飾って、通算〔8.3.2.16〕。新馬勝ちの以外の7勝中6勝がGIIだった。GI〔0.0.2.12〕、GIII〔1.0.0.1〕で勝ったのは新潟2歳Sだから、3歳以降の勝ち星はすべてGIIで挙げたことになる。まさに“ミスターGII”だ。

 重賞7勝ならそれだけで一流馬だが、バランスオブゲームにとって不運だったのは自身の適性と番組がマッチしていないこと。全8勝の内訳は、1000m1勝、1400m1勝、1800mが3勝、2000m1勝、2200m2勝。すべて芝で、芝GIがない1800mで一番多く勝っている。2勝の2200mも出走できるGIは宝塚記念だけ。引退前の28戦目、7歳時に3着に食い込んでいる。そもそもデビュー戦が直線競馬。GIと縁がないことを暗示していたのかもしれない。


 もう少し細かく見てみると、なかなか興味深いデータがある。GIIでの人気は〔1.4.0.7〕。常に6番人気以内で出走したが、4〜6番人気での優勝が5回。一方、GIでの人気は〔0.0.0.14〕。結局3着止まりだったとはいえ、人気と着順の関係を勝ち負けに例えると、着順の7勝3敗4分。むしろ人気以上の大健闘だった。14戦中11戦が6番人気以下なのに、掲示板(5着以内)に6回も載っている。

 29戦すべて単勝1点勝負で回収率288.6%と悪くない数字だが、GII6勝の単勝平均配当は1025円。GIIに限ると回収率は512.5%までハネ上がる。GIIでは中心人気になることが少ないのに馬券に絡んで好配当、GIでは頑張っても連対しない。とても分かりやすい戦歴。しかも30戦に満たないキャリアで重賞を7つも勝っている。現役当時もよく言われたのは「馬券で使える馬」。お世話になった人(逆に相性の悪かった人)は多かったはずだ。

 バランスオブゲームは別格として、他に個性派を探してみると、1988年(昭和63年)のダイゴウシュール(美浦・柴田寛厩舎)。ガロト(父リファール)の代表産駒である。

 通算〔4.1.1.3〕で、唯一の重賞勝ちがセントライト記念。雨中の不良馬場で2分16秒0。重賞出走は、他に4歳時(当時の表記で5歳時)の安田記念2着、天皇賞(秋)7着だけ。戦歴からは素質の高かったGII馬という位置づけになるが、セントライト記念は後続に7馬身差の圧勝だった。歴代の着差bQは、前出ホワイトストーンの4馬身。セントライト記念は創設当初から接戦になることが多く、2着に1秒2差をつけた記録は際立っている。ちなみに昨年は、1着ユールシンギング、2着ダービーフィズで、着差はハナ。

 ダイゴウシュールは道悪の鬼だった。4勝中3勝が重または不良。3勝目のしゃくなげ賞(福島芝1800m)は不良で1分51秒4の決着。2着馬を1秒7も引き離す大差勝ちを収めている。骨折明けで2着に健闘した安田記念も稍重。

 6月6日の遅生まれ。もともとステイヤーとして将来を嘱望されていたが、菊花賞にも天皇賞(春)にも出ることはなく、キャリア9戦、未完のままターフを去っている。それだけに、大崎昭一騎手とのコンビで異彩を放った26年前のダイゴウシュールは、今でも強く印象に残っている。






 さて、バランスオブゲームとダイゴウシュール、この2頭の共通点は新潟施行のセントライト記念を勝っていること。写真のダイゴウシュールは右回り……まだ左回りの新コースになる前。ベテランファンは懐かしい昭和の競馬に思いを馳せてほしい。

 中山改装の影響で、今年は新潟開催が長い。ひょっとして食傷ぎみになる方もいるかもしれないが、史上3回目の新潟セントライト記念、個人的に大変楽しみにしている。今回も、ひと味違ったスターの誕生を期待したい。新潟内回り芝2200m。9月21日、発走は15時45分である。




〔田所直喜〕




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