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 同じグレードであっても“格差”はある。今年の場合、古馬GUの最高賞金レースは2つで、1着6500万円の札幌記念と阪神カップ。牝馬限定戦やダート戦、ハンデ戦は一枚落ちの扱いとなり、府中牝馬ステークスと東海ステークスは1着5100万円、伝統を誇る目黒記念でも1着5500万円である。

 毎日王冠は1着6000万円。賞金だけ見れば格上とは言い難いが、歴代出走馬のレベルはGUの中では屈指。勝負の内容や印象まで含めると、bPと言っても差し支えないだろう。

 ハクチカラ、タケシバオー、スピードシンボリ、ミスターシービー。近年はウオッカが2年連続で登場するなど、JRA顕彰馬が数多く出走表に名を連ねてきた。

 1989年(平成元年)の覇者もJRA顕彰馬。2着馬はこの年の年度代表馬で、大井から中央に転入して、天皇賞(春)、宝塚記念、有馬記念を勝った強豪。ウインドミル、メジロアルダンの外から併せ馬で伸びた追い比べはハナ差でオグキャップが制したが、イナリワンとの攻防はGT前哨戦とは思えぬ大熱戦で、現在でも名勝負のひとつとして語られているほどだ。



 1998年(平成10年)もハイレベル。休養前に5連勝で宝塚記念馬となり、久々でも単勝1.4倍の支持を集めたサイレンススズカ。無敗のまま朝日杯を勝って2歳(当時の表記で3歳)チャンピオンに輝き、10ヵ月ぶりの実戦に臨んだグラスワンダー。同じく負け知らずでNHKマイルCを快勝して、秋緒戦に毎日王冠を選んだエルコンドルパサー。4週後、悲劇の最期を迎えることになるサイレンススズカが、15年前としてはケタ違いの記録内容(前半5F57秒7、上がり3F35秒1、勝ちタイム1分44秒9)で圧勝して、史上に残る快速馬であることを示した一戦となった。



 女傑ウオッカは2年連続、逃げて2着。2008年(平成20年)はゴール前でスーパーホーネットに差し込まれ、翌年はカンパニーに1馬身交わされた。ともに休み明け。ハナを切るという、普段と違う戦法である点がGUらしいところ。もちろん、これらの敗戦によってウオッカの評価が下がることは微塵もなかった。あえて本調子手前で出走して、感触を確かめる。天皇賞・秋でダイワスカーレット、ジャパンカップでオウケンブルースリをハナ差抑えた勝負強さは、秋緒戦を無理なくスタートして本番に臨んだからこそ発揮された。



 しかし、近年になって毎日王冠はその性格を変えつつある。超一流馬があまり出走しなくなり、それにつれて高配当決着が増えてきた。ここ3年間、毎日王冠の上位3頭は秋のGT戦線で活躍していない。ウオッカが出た2年間を除くと、最近10年で馬連5000円以上が8回中5回もある。

 得意の左回りに照準を絞って、有馬記念を避ける形になっていたウオッカは例外。無用な消耗をしないために、天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念が一線級のワンセット。現在では、優勝賞金1億3200万円の天皇賞・秋が、ジャパンカップ(同2億5000万円)と有馬記念(同2億円)の“前哨戦”である。また、本当に強い馬は、今年のオルフェーヴルやキズナのように海を渡って凱旋門賞を目指す。

 プレストウコウ、カネミノブ、キョウエイプロミス、カツラギエース、サクラユタカオー……。昭和の強豪優勝馬と比べると、2000年(平成12年)以降はトゥナンテ、サンライズペガサス、チョウサン、アリゼオ、ダークシャドウ……。今後、オグリキャップとイナリワンが演じたようなGT馬同士の死闘は見られないのかもしれない。

 そんな変遷を振り返りながら、今年のメンバーを見て、思いを馳せてほしい。レベルはともかく、また新たなドラマを期待したい。東京競馬場、芝1800m。10月6日、発走は午後3時45分である。  




〔田所直喜〕




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