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 種牡馬ステイゴールド。オルフェーヴルを筆頭に、ゴールドシップ、フェノーメノ、ナカヤマナイト、オーシャンブルー……。現役産駒に強豪、それもGTでおなじみの面々がそろって、障害界には中山グランドジャンプを制したマイネルネオスがいる。今年の宝塚記念も、ステイゴールド産駒VSディープインパクト産駒の様相。ゴールドシップが勝って、大いに盛り上がった。

 競走馬ステイゴールド。引退年の2001年(平成13年)3月にドバイシーマクラシック(当時GU)を制し、同12月に香港ヴァーズ(GT)を勝って大団円となるのだが、国内GTは2着4回ながら未勝利。海外での快挙は認めるとして、“連下級の名馬”という印象が最後まで残った。国内最終戦のジャパンカップは4着。7歳まで走って通算7勝(国内5勝)、2着と3着は合計20回である。

 JRA重賞勝ちは2つだけ。初制覇はGUの目黒記念だった。6歳(当時の表記で7歳)5月、遅咲きの春。重賞挑戦26回目、種牡馬サンデーサイレンスにとっては記念すべき重賞100勝目となった。

「とにかく良かったですよ、勝ってくれて。ただ、これから大きい勲章を取るべき馬。満足しているわけにはいきません」。

 管理の池江泰郎調教師のコメントだ。ステイゴールドが、いかに期待されていたかが分かる。GU程度で浮かれるはずがない。

 しかし、伝統の農林水産省典目黒記念に名前を刻んだことに意義はあった。ステイゴールドが勝った2000年(平成12年)は第114回。ムスカテールが勝った今年、2013年(平成25年)は第127回である。ちなみに、日本ダービー(東京優駿)は第80回。JRAが多額の宣伝費をつぎ込んだキャンペーンは記憶に新しいところだ。



 目黒記念はダービーよりずっと古くから……のわけはない。第1回は、同じ1932年(昭和7年)。3歳戦の頂点となるダービーは、その年唯一の“祭典”。そう、かつての目黒記念は、現在の天皇賞のように年2回行われていたのだ。

 年1回になったのは1984年(昭和59年)の番組改革(グレード制導入)時から。ハンデ戦のため格付けはGUに決まったが、オーストラリアの人気bPレース=メルボルンカップはハンデGT。長い歴史を考慮すれば、GTにするのが妥当という声もあった。

 歴代の優勝馬に強豪がズラリ。JRA設立の1954年(昭和29年)以降に限っても、ハクリョウ(63キロ)、ハクチカラ(61キロ、64キロ)、シーザー(63.5キロ)、シンザン(63キロ)、スピードシンボリ(58.5キロ、60キロ)、マーチス(60キロ)、アカネテンリュウ(60キロ)、カシュウチカラ(53キロ、59キロ)、サクラショウリ(60キロ)、カツラノハイセイコ(58キロ)、アンバーシャダイ(57.5キロ)。時代をリードした、今でいうGT級が目白押し。以前は重賞レースが少なかったこともあり、目黒記念で超一流馬が酷量を背負って貫禄を見せるシーンが多かった。

 ステイゴールドは58キロで優勝。昭和の先輩たちと比べると軽めの斤量とはいえ、トップハンデでマチカネキンノホシ(57キロ)以下を退けている。

 近年のファンにとってはダービーデーの最終レースかもしれないが、目黒の二文字に歴史と伝統を感じてほしい。日本最古のハンデキャップ競走で、名前の由来は目黒競馬場(所在地は現東京都目黒区)。東京競馬場の前身で、第1回東京優駿大競走も行われている。現在地の東京都府中市に移転後はわずかな痕跡を残すだけだが、何しろ日本ダービーの発祥地である。1932年4月24日のダービーより6日前の4月18日が第1回。目黒記念は現存する“日本最古”の重賞だ。

 歴史を振り返る上で、年2回の最後、1983年(昭和58年)の第97回目黒記念(秋)に触れておく。今から30年前の11月20日、ジャパンカップの1週前で東京競馬のメインレース。1着賞金は3400万円。格付け前とはいえ、1着4900万円のエリザベス女王杯(京都)より弊紙面上の扱いが大きかった。



 勝ったのはモンテファスト。父シーホーク、母モンテオーカン。第1回ジャパンカップで2番人気(日本馬の中では1番)に推された、モンテプリンスの1つ下の全弟である。スターホースの兄に戦歴で圧倒的な差をつけられ、賢兄愚弟の典型とまでいわれたが、東京3200mでの最後の施行となった1983年天皇賞(秋)で4着と善戦すると、次走の目黒記念(秋)で重賞初制覇。ハンデは55キロ。そして翌1984年、6歳(当時の表記で7歳)にして天皇賞(春)を制するに至った。

 スケールこそ違うものの、ステイゴールドと同様の晩成戦歴。強豪列伝には加えられないが、モンテファストも目黒記念史の1ページを飾った個性派であった。


〔田所直喜〕




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