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 安田記念BDPQ着、宝塚記念BIQ着。現役生活は2001年(平成13年)に始まり2007年(平成19年)まで、足かけ7年。海外遠征歴もあるローエングリンは文句なしの活躍馬だったが、ついにGT制覇を果たすことができなかった。産駒のロゴタイプが今年の皐月賞を勝って、その無念が晴れたのかどうか、誰も彼の胸の内を知ることはできない。

 そんなローエングリンの勲章のひとつは、伝統のGU中山記念を2回優勝していることだ。1回目は2003年、4歳時。2回目は8歳時の2007年で、最後の勝利、10勝目であった(通算国内45戦、同海外3戦)。長い期間、一線級で戦っていた“超二流馬”である。


【成績(by netkeiba.com)】

中山記念
2003年3月2日


中山記念
2007年2月25日





2003年の新聞。クリックで拡大。







 中山記念。他の重賞とひと味違う特徴がいくつかある。JRAに1800mの芝GTがないせいか、このレースを連覇する馬が少なからずいる。古くはカネミカサ、エイティトウショウ。平成以降でもバランスオブゲーム、カンパニー。カネミカサとエイテイトウショウは3連覇に挑んで、ともに3年目は2着。まさに中山記念のエキスパートだった。他に2年連続連対馬を挙げると、アイフル、トウショウペガサス、クシロキング、サクラチトセオー、フジヤマケンザン、ダイワテキサス、アメリカンボス。

 いずれ劣らぬ個性派ぞろいだが、いわゆる強豪列伝に加えられる馬は少ない。GU6勝でGT最高3着のバランスオブゲームが典型例で、GT連勝で晩成したカンパニーは大関格としても、他はGTを勝った馬も含めて関脇・小結級の印象が強い。一方、1戦1勝のハイセイコー、サクラローレル、ヴィクトワールピサ、2着に終わったダイワメジャーなど、1回しか走っていない大物がいる。

 2月末、または3月の初め。GTシーズンから外れて、施行時期も微妙だ。例えば同じ1800mのGUといえば、まず思い浮かぶのが秋の東京で行われる毎日王冠。古馬トップクラスの秋のローテーションが、天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念となった今日でも、ウオッカなど、ここをステップレースとする超一流馬は存在する。競馬ファンなら、毎日王冠と聞けば秋GTを想像してワクワクしながら出馬表を眺める。

 しかし、毎日王冠と賞金同額のGU、今年で87回目という歴史を誇りながら中山記念は……明確なイメージが沸かない人も多いかもしれない。短距離路線と一線を画して、中距離GTとの関連性も薄い。レベルは決して低くないものの、今ひとつ華やかさが足りないレースになっている。

 趣の異なる年もあるが、あえて言い切れば1800mが一番得意な“超二流”同士による真剣勝負。晴れ舞台のGTでは脇役に回っても、その存在感を示す最高の場。思い出すのは1994、1995年(平成6、7年)。直線でもつれる大激戦の末、2年連続で降着馬を出している。1年目はサクラチトセオーが勝って、フジヤマケンザンが繰り上がりの2着。3位入線馬が降着した2年目は、フジヤマケンザンが雪辱して、サクラチトセオーをクビ差で退けている。いろいろな意味で、中山記念らしさを見せてくれた名勝負だ。歴史は繰り返す。1800mに芝GTがない以上、また似たような熱闘が見られることだろう。


〔田所直喜〕




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