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朝日杯3歳S・ゴール前 題字
1994年12月11日
第46回朝日杯3歳S
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馬柱  私には自分の損得と直接の関係がないものを「応援する」という概念がほとんどない。今年は千葉ロッテマリーンズを応援していたが、それは「マリーンズ優勝なら金利アップ」という定期預金を持っていたからだった。

 「朝日杯、フジキセキよろ」と指名された。おそらくフジキセキのペーパーオーナーだったからだろう。もちろん、自分の損得に大きく関係していたので応援していた。

 ドラフトの時点では馬名はついていなかった。しばらくして馬名が登録されると、諸先輩には「変な名前」とバカにされた。今となっては「変」とは思えないが、当時は私も「舌足らずだなあ」と思っていた。

 名前が舌足らずだったためデビュー戦は2番人気。…というのはもちろんウソで、前週の新馬で3着だった馬(シェルクイーン)に1番人気を譲り、2番人気に留まった。レース実況は印刷工場で(ラジオで)聴いた。いきなり出遅れ。周囲は爆笑。しかし、全馬の位置取りを伝え終わるころにはすでに3番手にいた。8馬身差で圧勝。映像を見た人からは「ダービー馬だな。おめでとう」とまで言われた。

 2戦目はもみじS。阪神9Rは関東圏では発売していない時代なのでテレビ観戦だけ。いわゆる「オイデオイデ」という楽勝で、2着タヤスツヨシを問題にしなかった。

 そして3戦目が朝日杯3歳S。フジキセキ、スキーキャプテン、コクトジュリアン、トウショウフェノマ、マイティーフォースと「2戦2勝の無敗馬」が5頭いたが、その中でもフジキセキは単勝1.5倍と圧倒的な人気。

 またもや相手(スキーキャプテン)に合わせるような競馬でクビ差勝ち。レース後には「どこまで行っても変わらないよ♪」などと言ってはみたが、実は必死で「つのだー!つのだー!」と絶叫した。ゴール前でチョコレートについて考えていたわけではなく、不遜にも「5割も配当をつけてくれるのは美味しい」と考え、真剣に単勝で勝負していたから。

 2着スキーキャプテンは次走、きさらぎ賞1着。4着マイティーフォースは京成杯1着。もみじS2着タヤスツヨシも(もみじSの後)エリカ賞→ラジオたんぱ杯3歳Sと連勝。負かした相手が次々と重賞を勝ち、「世代最強」の評価を確実なものとして迎えた年明け緒戦は弥生賞。しかし、今度は勝負できなかった。

 単勝が1.2倍まで売れてしまったことも理由のひとつだが、最大の理由はパドックで「太い」と感じたから。中山のパドックは記者席のフロアからだと「ほぼ真上」から見るようになるが、背肉が割れているように見えた。

 好スタートから2番手につけ、4コーナーでは早くも先頭。しかし、勢い良く伸びてきたホッカイルソーが並び、並ぶどころか前に出たようにも見えた。

 「あー、やっぱり太めで反応できないか」と思ったその瞬間、突然加速したフジキセキは2馬身半も差をつけて勝っていた。信じられなかった。と同時に、「まあ、皐月賞とダービーはもらったな」とも考えた。不埒な皮算用もした。

弥生賞ゴール前  しかし、その「信じられない瞬発力」が自身の脚を壊してしまった。皐月賞直前に故障→引退発表。天国から地獄。おまけに(もみじSで問題にしなかった)タヤスツヨシがダービーを勝ってしまうのだからショックは大きかった。マヤノトップガンを見れば「菊花賞は勝てなかったな」と思えるので「幻の三冠馬」だとは思わないが、「幻のニ冠馬」ではある。

 なぜ「菊花賞は勝てなかったな」と思ったのかと言うと、もちろんマヤノトップガンのステイヤーとしての高い資質を目の当たりにしたからだが、フジキセキのゴムマリのような体と切れすぎる脚は菊花賞向きではなかったと思うから。したがって産駒にマイラーが多いのは納得…と思っていたら、カネヒキリが登場した。

 武蔵野Sはともかく、JCダートでは危ないぞ、とカネヒキリに逆らった私はボッコボコにされた。自身の損得だけを基準に“応援”したツケが、10年以上も経ってから回ってきたのだろうか。そういえば、JCダートの翌日もクロスファイア(父フジキセキ)に裏切られたっけ。

 さて、フジキセキの後にも「自身の瞬発力に耐えられず3歳春に故障」というサンデーサイレンス産駒が続出した。サンデーサイレンス産駒最初のG1勝ち馬であると同時に、「朝日杯を勝ったサンデーサイレンス産駒は3歳クラシック前に故障する」という不吉なデータの最初の例にもなってしまったが、以後は「サンデーの扱い方」が理解されたようだ。未完成のうちにキツい競馬をさせてはいけないので、朝日杯には出走させない。クラシック本番前には「エンジン全開」にさせない。こうした手法で産駒はクラシックを勝ちまくっていった。
[大川 浩史]

☆第46回朝日杯3歳S 優勝馬☆
フジキセキ 1992.4.15生 牡・青鹿毛
サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding
Mountain Flower
ミルレーサー
1983 鹿毛
Le Fabuleux
1961 鹿毛
Wild Risk
Anguar
Marston's Mill
1975 黒鹿毛
In Reality
Millicent
 
 



馬主………齋藤四方司
生産牧場…千歳・社台ファーム
調教師……栗東・渡辺  栄

通算成績 4戦4勝[4.0.0.0]
主な勝ち鞍 朝日杯3歳S(1994年)

受賞歴 JRA賞
最優秀3歳牡馬(1994年)

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1994年12月11日
第46回朝日杯3歳S(G I) 中山・芝1600m・良
[1]フジキセキ牡354角田 晃一1.34.7
[3]スキーキャプテン牡354武  豊クビ
[4]コクトジュリアン牡354柴田 善臣1.1/4
 上がり 48秒1−36秒0
単勝 150円  複勝 100円 110円 150円
枠番連複 1−3 280円 馬番連複 1−3 280円  




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